健康科学は嘘ばかり。国も信用ならぬ。真実は隠されている。

『タミフルは今までに存在する薬に比べて、なんと半日早くインフルエンザの症状を治します。』

これは疫学者のベン・ゴールドエイカーがTEDで講演した際に語られたことです。タミフルといえばインフルエンザの特効薬のような扱いで日本で大量に消費されている薬です。

あなたはたった半日早く治すために、副作用があるかもしれない薬を飲みますか?

 

 

ベンは疫学者として『怪しげな情報を解きほぐし、背後にある根拠を明らかにすること』をテーマにTEDで講演。

「本当の科学」は研究の根拠を明らかにすることが重要であり、その点について厳しく評価されることが普通ですが、世の中に出回っている医療に関する情報には根拠に乏しいものや、全くデタラメなものがまぎれています。

”科学”に騙されるな

以下はイギリスのデイリー・メール紙が発表した「ガンの原因となるもの」と「ガンを防ぐもの」のリストです。

ガンの原因となるもの

  • 離婚
  • Wi-Fi
  • 化粧品
  • コーヒー

ガンを防ぐもの

  • パンの皮
  • 唐辛子
  • 甘草
  • コーヒー

コーヒーはガンを招き、そして予防にもなるという矛盾がありますね。

そして、紙面には”女性は家事をすると乳ガンの予防になり、男性は買い物に行くと不能になる”とも書いてあり、ここにはある種の政治的な意図も隠されているとベンは語ります。

新聞のように人々が信頼できる情報源として利用する媒体においても、本当の科学とは呼べないような情報であふれているのです。

 

情報を鵜呑みにするのではなく、どんな意図を持って発信された情報なのかしっかり自分の頭で考えよう。

権威に騙されるな

権威は簡単にでっち上げることができます。しかし人は肩書きの多さによって情報の信ぴょう性を評価しがちではないでしょうか。ベンは例としてジリアン・マキース『博士』を挙げます。彼女はダイエットの専門家としてイギリスではテレビにも多数出演するほどの有名人ですが、無認定の通信教育によって博士号を取得したことが判明しています。

適切な引用と根拠はあるか

赤ワインは乳がんを予防する?

「赤ワインは乳がんを予防する」という記事がデイリー・テレグラフに掲載されました。その根拠は一本の学術論文です。

赤いぶどうの皮から抽出された物質をある種のガン細胞に与えるという実験を行ったところ、有意な結果が得られたという内容の論文ですが、これは実験台の皿の中での話。

人体を使っての研究は実施されておらず、しかも赤ワインを飲むと乳がんのリスクは上がるのかという点については何も述べられていません。現在までに、アルコールを摂取するたびに、ガンになるリスクはわずかに上昇することが分かっています。

オリーブ油と果物・野菜・豆を取っているとシワ予防になる?

「オリーブ油と果物・野菜・豆を摂取すると皮膚のシワ予防に効果がある」として、イギリスのダイエット専門家が英国2位のデイリー・ミラー紙に記事を掲載しました。

根拠は2001年に発表されたのオーストラリアでの研究結果ですが、その研究は、被験者の現在の肌の状態を観察してまとめたものです。

観察の結果、野菜とオリーブオイルを食べる人は、そうでない人たちと比べてシワが少ないという結論が導かれましたが…

それは果物や野菜やオリーブ油を食べる人たちが皆さんのような変わり者でこんなイベント(TED)に集まるような人だからです。上流育ちで豊かで屋外で仕事することは少なく、何か手を使う仕事ではないでしょう。手厚い社会の支援を受け、喫煙しない人が多く…

つまり、シワが少ないのは野菜やオリーブ油のおかげではなく、社会的・政治的、そして文化的な環境のおかげではないか、ということです。

野菜とオリーブ油を食べている人がマクドナルドばかり食べている人よりもシワが少ないことを証明するには、被験者を赤ちゃんの時代から2つの群に分けて、追跡調査する必要があります。

このように「多くの人を集めて半分に分け、一群をある方法で、残りは別の方法で手当し、しばらく経ったら追跡調査で様子を調べる」ような試験方法を治験といいます。

治験は正しい方法で行われているか?

治験を実施するにあたり、治験の設計を歪めることで自分の欲しい結果を導こうとするメディアやサプリメント業者、自然療法の医師、そして製薬業界の存在があります。

製薬会社は現在の治療法よりも効果のある薬の開発を試みており、治験の際の比較は新薬と旧薬で行われます。しかし、その際に旧薬の投与量を極端に減らしたり、もしくは増やしたりすることで新薬の効果が高いという結果を導くことがあるのです。

業界が資金を提供した治験は、独立な資金による治験と比べて4倍も肯定的な結果が出るという事実がある」とベンは語ります。

都合の悪いデータが治験の途中で消えてしまう

レボゼチンという薬に関しては、全体のうち76%の治験が医師と患者によって伏せられていたといいます。つまり、都合の悪いデータは揉み消されているということです。

こんなことを考えてみてください。コインを百回投げるとして、半分の結果を隠すことが許されるのなら、持っているコインは両側が表でできていると信じさせることができます。結果の半分を隠してしまったら、ある薬の真の効果はまったくわかりません

製薬会社は全ての治験データを公表していません。そして、この問題については現在のところ解決策がないというのです。

タミフルというインフルエンザの薬に関しては、国際的非営利団体のコクラン共同計画によって、タミフルの臨床データの全てが公表されました。

コクラン共同計画は「タミフルはインフルエンザにはほとんど効かない上に、高確率で副作用が出る」という調査結果を発表しましたが、日本では今だに第一選択薬として処方されています。

しかも日本は世界の消費量の8割を占めるといわれており、製薬会社の良いカモにされていると言っても過言ではないでしょう。発熱の期間が半日短縮されるだけの効果しかない薬に大量のお金をつぎ込むことは、正しいことなのでしょうか。あるいは、日本政府はこの薬にこだわる理由があるのでしょうか。

まとめ

「科学」の名の下に、真実は巧妙に隠されます。私たちは、与えられたものをただ信じていてはダメなのです。自ら情報を集め、判断を下さなければなりません。

”科学の全ての問題に対して我々のできる最良のことは、蓋を開けてあちこちを触れてみたり、覗き込むこと”

 

参考リンク:
TED – Ben Goldacre “Battling bad science”
インフルエンザにタミフルは効かない!高確率で嘔吐や精神障害 すでに欧米では利用わずか
ウィキペディア – 疑似科学

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