オーストラリアの卒業生ビザとは?申請する際の注意点

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みす夫(@missu_d_ash)です。今回はオーストラリアの「卒業生ビザ」について詳しく調べてみました。

2018/8/3追記:ビザが下りました!ということで補足情報を追加しました。

卒業生ビザとは?

正式名称はTemporary Graduate visa (subclass 485)といい、オーストラリアの大学などで2年間以上のコースを修了することで申請が可能になるビザです。このビザを取得することで、制限なしに働いたり、学校に通ったりすることができます。つまり、何をしても良いということであり、ワーキングホリデービザと同様の自由さがあります。

ただし、ワーホリビザほど楽に手に入るビザではないので、このビザを取得した後は就職活動に励むか、アカデミックイヤーという職業訓練のコースに進んで永住権の点数稼ぎをする(5ポイント)、というのが定番ではないでしょうか。また卒業生ビザの申請には年齢制限があり、50歳以上の人は申請できません。

卒業生ビザの種類

卒業生ビザにはGraduate Work streamと、Post-Study Work streamという2つのストリームが存在します。

オーストラリアの大学を卒業した人は通常Post-Study Work streamを選択することになるかと思います。

Graduate Work stream

ディプローマなどの学位を取得した場合に申請します。ディプローマという学位は日本ではあまり馴染みがないかも知れません。近いものとしては専門学校卒でしょうか。

このストリームに申請する場合、オーストラリアで取得した資格がMedium and Long-term Strategic Skills List (MLTSSL)に載っている職業に関連している必要があります

 

このリストの内容は需要と供給に合わせて変化するため、スキルリストから外されそうな職業で申請を狙っている人はいつもヒヤヒヤしているはずです。また、申請前に自分でスキルアセスメントの申し込みをする必要があります

例えばIT関連の資格を取得した場合にはAustralian Computer Society (ACS)という団体にアポイントを取ります。(その他のオーソリティー団体のリストはこちら

このGraduate Work streamで取得したビザは、発行された日から18ヶ月有効です。Graduate Work streamに関する政府の公式アナウンスはこちら

Post-Study Work stream

オーストラリアの大学や大学院を卒業した場合に申請するストリームです。

Graduate Work streamとは違い、申請に際して職業の制限はなく、どの学部を卒業しても申請することができます。

ビザの有効期間は取得した学位によって異なり、学士号(Honours含む)、修士号(コースワーク)を卒業した場合は2年、修士号(リサーチ)は3年、博士号は4年の滞在が認められます。Post-Study Work streamに関する政府の公式アナウンスはこちら

卒業生ビザを申請するための準備と注意点

ビザの申請には面倒がつきものです。オーストラリア政府のウェブサイトによると、Post-Study Work streamの申請では50〜62日、Graduate Work streamの申請では、受理されるまでに3〜5ヶ月かかるという統計データが出ています。(75%〜90%の申請者が受理されるまでにかかる日数)

ビザの申請さえ済んでしまえば、ブリッジングビザが発行されてオーストラリア国内に合法的に滞在することができるようになりますが、問題となるのはやはり就業時間の制限ではないでしょうか。

ブリッジングビザの滞在条件は、申請時に保持していた条件を引き継ぐため、学生ビザを保持していた場合には週20時間の就業しか認められません。(※正確には2週間で40時間)この就業制限によって就職活動に影響が出る可能性があるため、出来るだけ早めに手続きを済ませることをお勧めします。

(2018/7/25追記:よく考えたら学生ビザの場合でもコース期間中以外は時間の制限なく働けるので、ブリッジングビザを保持した状態でフルタイムで働いても問題がないように思います。とはいえ、キチンとした会社であれば、就業できるビザを持っているかどうかを政府に確認します。)

以下に卒業生ビザを申請する際の注意点をまとめました。

申請時に49歳以下でなければなりません。

CRICOSに登録された学校・コースを修了している必要があります。

Commonwealth Register of Institutions and Courses for Overseas Studentsに登録されている学校・コースでなければ卒業生ビザを申請できません。

2年間のコースを修了する必要があります。

”2年間のコース”というのはCRICOSに92週間のコースと登録されているコースのことであり、実際に修了までにかかった年数ではありません。また、最低16ヶ月(3セメスター)在学する必要があります。

卒業生ビザはオーストラリア国内での申請に限られます。

日本からのビザ申請はできません。

申請時に有効なビザを保持している必要があります。

卒業生ビザの申請は大学などのコース修了から6ヶ月以内に行う必要があります。

卒業生ビザでの滞在期間をカバーする健康保険を保持している必要があります。

申請時に保険料を支払い済みの状態にしておく必要があります。

私はとりあえず調べた中で一番安いということでimanという会社の保険に入りました。あまりネットでの評判が良くないですが、卒業生ビザの申請に必要な要件をクリアする保険を扱っています。

英語能力を証明する必要があります。

IELTSの場合、オーバーオールで6、全てのセクションで最低5を取得している必要があります。また、申請日から溯って3年以内に受験した試験の結果でなければなりません。

メルボルン近辺ではIELTSの試験は毎週行われており、試験結果は受験日からおおよそ14日後に郵送されます。

IELTSのほかOET、TOEFL iBT、PTE、CAEの試験結果を申請に利用することができます。

オーストラリアでの無犯罪証明書、過去12ヶ月以上滞在したことのある国の警察証明を取得する必要があります。

人によってはここで時間がかかってしまうかも知れないので、早めに取得した方が良いでしょう。日本の警察証明は日本領事館で取得できます。(2018/08/03 追記:日本の警察証明は提出しませんでしたが、ビザが下りました。)

健康診断が求められる場合があります。

私の場合は求められませんでした。

卒業生ビザの申請費用

AUD 1,500 (2018年6月現在)

申請はどこから?

オンラインでの申請はImmiAccountで管理します。書類のアップロードなどもこのシステムを使います。

ちなみに、書類はCertified Copyを用意するという記述が出てきますが、Certified Copyとは内容が本物であることを認めるスタンプを押してもらったコピーです。オンライン申請を利用しない場合には、移民局に書類の原本ではなくCertified Copyを送る必要がありますが、オンライン申請では原本のスキャン画像を使用できます。

ちなみに家族もオーストラリアに滞在できます

追加費用を支払うことで、申請者の家族もビザを取得することができます。追加費用の計算はこちらのページのカリキュレーターで算出できます。

卒業生ビザで就職が保証されるわけではない

オーストラリア政府のウェブサイトにもこのように記載されています。

It is important to note that it is your responsibility to seek your own employment. The Australian government is not responsible for arranging employment.

つまり、卒業生ビザを使って就活頑張ってね、就職できなかったら知らんけど。ということです。まぁ、そりゃそうですわな。オーストラリア政府が運営する仕事探しサイトがあるので、ここから仕事を探してみるのも良さそうです。

最初の方でも触れましたが、多くの大学卒業生は卒業生ビザを使ってアカデミックイヤーと呼ばれる職業訓練コースに進みます。6カ月のコースを修了すると永住権ポイントが5点加算されます。実際のところ有料のインターンシップという感じで、費用も100万円程度と安くはありません。

とはいえ、永住権取得のハードルは厳しくなっており、ポイントが金で買えるならそれに越したことはない、という人はたくさんいるでしょう。大学卒業と同時に働き口をゲットするのもなかなか難しいので、とりあえずアカデミックイヤーに進むという、オーストラリア政府のドル箱政策にまんまとハメられる私たちなのであります…。

IELTSのスコアが足りてない…という方はIELTSの試験問題を作成しているCambridgeの問題集がオススメ!
参考:Temporary Graduate visa (subclass 485) – Australian Government Department of Home Affairs

2018/8/3 追記:ビザが下りました

ビザの審査にあたって、足りないドキュメントはメールで通知・催促されました。

移民局から最初に届いたメールは『英語能力の証明が提出されていない』というものでした。メールが届いてから28日以内にメールに返信しないとビザ申請が却下されるようなことが書いてありましたが、IELTSの結果をすでにオンラインシステムにアップロードしてあったので、このメールを受け取った意味が分からず2週間くらい放置。その後問い合わせのメールを送りました。

すると「この前のメールは間違いでした!」という返事をもらい、今度は『大学の修了証明』を28日以内に送れということでした…。そして証明書を送った次の日にビザが下りました。

今回の申請でコアとなる書類は以下です。

  • 大学の修了証明書
  • IELTS(オーバーオールで6、各セクション最低でも5)
  • Police Clearance (オーストラリアの警察証明書)
  • Overseas Visitor Health Cover (OVHC) Document(健康保険を契約したあとに発行される契約証明書)
  • 年齢確認書類(私が提出したのはヴィクトリア州運転免許証、出生証明書)

この他にも色々な書類を60件までアップロードできます。提出が推奨される書類は他にもありましたが、全部提出しなくてもビザは下りました。

ビザが下りるまでにかかった日数は34日。移民局からのメールを無視しなければ1週間くらい早くおりたかも知れません。とはいえ、ブリッジングビザで特に困ることもないので、できるだけブリッジングで引き延ばしておいたほうが滞在期間が長くなるなぁとも思います。

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オーストラリアの卒業生ビザとは?申請する際の注意点” に対して13件のコメントがあります。

  1. K より:

    大変参考になりました(^^)
    ありがとうございます!

    1. 大竹みす夫 より:

      メッセージありがとうございます(^O^)!

  2. ごきげんさん@シドニー より:

    すみません、出生届は取り寄せた方がよさそうでしょうか?パスポートだけでは年齢確認書類としては不十分でしょうか?

    1. 大竹みす夫 より:

      こんにちは!
      私は別の目的で出生届を取得して手元にあっただけ(だった気がする)ので、パスポートだけでもいけるのではと思います。もし不足しているということになれば、移民局から催促されます。ただし、ビザについては人生を左右することにもなるので、私の口から絶対大丈夫とは言い切れません…。
      他の書類との兼ね合いもあるかも知れませんので、不安な場合は専門家にご相談されることをおすすめします!

      1. ごきげんさん@シドニー より:

        お返事おそくなりました。ありがとうございます!とりあえず、パスポートだけで申請してみます!

      2. Takao Akiyoshi より:

        こんにちは!
        卒業ビザのブログを拝見させて頂きました!
        今、ゴールドコーストに住んでて卒業ビザを申請済です。
        質問ですが、JRPのステップ2で、
        Employment registration form の提出を求められていますが、どのような書類で、どこでフォーマットを入手できるかご存知でしょうか?
        もし知ってれば教えて頂けますでしょうか?
        よろしくお願いします!

        1. 大竹みす夫 より:

          こんにちは!
          コメントありがとうございます。残念ながら JRP については全く知識がありません!
          以下の記述を見つけたのですが、Application Fee を支払った後にプリントできるのではないでしょうか…?

          2.2.2. Online application process
          To apply for the JRE, you will need to sign in to the TRA online portal with the username and password obtained when you first registered for the JRP. You should then select the Job Ready Employment link, complete the Job Ready Employment Summary Page and pay the $500 application
          fee. When you have completed the online submission and payment, select the Submit & Print button in the online portal to submit the details and print the Job Ready Employment Summary Page and Employment Registration Form.

          https://www.tradesrecognitionaustralia.gov.au/sites/default/files/job_ready_program_applicant_guidelines.pdf?v=1581311205

  3. けいこ より:

    申請所時期をずっと、コース終了の6ヶ月と思っていました。笑笑
    たしかに修了証ないのに、どうやって申請するんだろう、と思ったのですが、、、
    どうもありがとうございます!

    1. 大竹みす夫 より:

      コメントありがとうございます!参考になれば幸いです。最後の期末テストをパスして、卒業が確定すると大学から証明書を発行してもらえるので、実際に卒業していない段階でビザの申請ができます。

  4. akari より:

    コメント失礼いたします
    家族も申請できるとありますがその場合同じ国から一緒に申請する必要がありますか?
    また家族もアイエルツのスコアを持ってないといけませんか?

    1. 大竹みす夫 より:

      こんにちは!
      以下のページに最新の要件が記載されているので、確認してみてください。条件の一つとして「you were physically in Australia for at least 16 calendar months to complete the study」とあり、家族については記載がないので、普通に考えるとご自身がオーストラリアで大学を卒業し、この卒業生ビザが降りることで家族がオーストラリアに入国できるという流れではないでしょうか。また、家族のIELTSスコアの要件についても書かれていないようです。
      https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/temporary-graduate-485/graduate-work#Eligibility
      (上記はあくまで私の見解ですので、全く責任は持てません。ビザ取得は人生を左右するものですので、不明なことがあれば有資格の移民アドバイザーに相談してくださいね。)

  5. Rio より:

    コメント失礼します。コースが二年であれば、Cer IV Cookery プラス Dip hospitality でもよろしいのでしょうか?それとも、Certificate III , IV プラスDiploma of hospitalityを勉強しないと卒業ビザは申請できないんでしょうか?

    1. 大竹みす夫 より:

      こんにちは!
      質問に対する回答としては「コースによる」ということになるかと思います。
      ビザに関するアドバイスは資格無しではできないため、あくまでも参考に留めておいて欲しいのですが、https://cricos.education.gov.au/ に掲載されていない学校・コースで2年間の勉強をしてもビザの申請はできないですし、コースでどんな内容をカバーするのかによって、卒業時に取得できる資格は異なります。
      ビザの申請条件については、オーストラリア政府が公表している一次情報を参照するか、専門のアドバイザーに一度相談することをおすすめします。

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